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表は少し特殊な用語を使っていますので、わかりやすくするために表の右端にA〜Eの区分をつけました。
 Aは、表では「飲食店」とくくられていますが、要するにそこかしこに見受けられる飲食店、レストランのことです。
これら「飲食店」の市場規模は十二兆二千七百九十八億円で、外食産業市場全体の四三・八%を占めています。
 Bは、列車食堂と国内線機内食の「特殊タイプ飲食」と、ホテル・旅館の宿泊施設での外食提供分で、これらは人々の旅行、移動に伴って発生する外食需要分を引き受けるものです。
この分は、前者が二千四百四十九億円、後者が四兆六千六百十億円で計四兆九千五十九億円となり、外食産業市場全体の一七・五%を占めています。
 Cは、学校給食、事業所給食(社員食堂など)、病院給食、社会福祉施設(保育所給食など)といった「集団給食」です。
この分は四兆千二百五十七億円で、外食産業市場全体の一四・七%を占めています。
「集団給食」では、学校なら児童・生徒、社員食堂なら会社に勤務している人、病院なら患者というように、あらかじめ食事を提供される対象者が画されています。
 Dは、表では「料飲主体部門」とされており、この分は六兆七千四百九十八億円で、外食産業市場全体の二四・一%を占めています。
これらも統計的には広い意味で飲食店ですが、表ではとくにAは食べ物の提供を主とする飲食店、Dは飲み物の提供を主とする飲食店という意味に区分しているようです。
外食産業とは 市場の性格としては、Cの市場は一般の消費者に常に開放されているわけではないという意味で閉じた市場であるといえます。
これに対して、AおよびDは一般の消費者に常に開かれた市場だということができます。
実際、市中の飲食店をみれば、Aに位置づけられる店やDに位置づけられる店が混在して、しばしば競合しています。
 Eの「料理品小売業」は持ち帰り弁当店やコンビニエンスストアで弁当や惣菜などの料理品の売上の多い店を指します。
この分は、三兆八千二百十七億円ですが、同表では外食産業市場の外数になっています。
これを表の外食産業市場規模に加えますと、三十一兆千九百三十八億円(一部ダブルカウント分を調整)となります。
 一部専門紙では、表のような外食市場の構成を検討した上で、「料飲主体部門」のうちこの「料理品小売業」分(ダブルカウント分を調整した三兆千三百二十六億円)を加えた方が、世の中の外食産業のイメージと合うはずだと主張しています。
この主張に従いますと、九五年の外食産業市場規模は二十七兆七千二百八十九億円となります。
 ところで、表には外食市場として含まれるべき多くの分野が脱漏しているという問題があります。
例えば、テーマパークや劇場などの中にある飲食施設分、高速道路のサービスエリア内や客船でのそれらが全く考慮されていません。
また、同表を作成する推計手法や根拠となる数 4値にも疑問があります。
 したがって、表に示された数値はあまり厳密なものではなく、おおよその見当をつけた数値だというぐらいにとらえておいた方がよいでしょう。
 さて、そうはいっても、この外食産業市場規模値は、一定の約束事と手続きにしたがって推計されているものですから、かなりの確度で市場の動向を反映させているとみることはできるでしょう。
  A低迷する伸び率  外食総研では、同値を七五年分までさかのぼって推計していますので、ここ二十年余の外食産業市場規模の推移を知ることができます(表1‐3)。
  表によりますと、七五年の外食産業市場規模値は八兆六千二百五十七億円でした。
翌七六年 にはこれが十兆千三百三十二億円となっています。
その五年後八一年には市場規模は十五兆円 を超えています。
そのまた五年後の八六年には二十兆円を超え、その四年後の九〇年には二十五 兆円を超えました。
外食産業市場規模の推移外食産業とは市場規模(億円)対前年増加率(%)(出所) ≪外食産業総合調査研究センター(注)1.78年までは百貨店等の直営飲食店の売上高を含まない。79年以降は含む。
   2.(  )は、百貨店等の直営飲食店の売上高を含まない数値で算出。
   3.93年値以降分は、将来確々報値の公表により若干の差異がでる場合がある。
 平均すると、七〇年代の中頃から九〇年までの間は毎年一兆円ずヱ巾場規模が膨らんでいたといえます。
もっとも同じ一兆円の増額でも市場規模全体すなわち分母が十兆円の時代なら伸び率はI〇%で二桁ですが、市場規模すなわち分母が二十兆円と大きくなりますと伸び率は五%で一桁の中位という言い方になります。
 ともかく、日本でチェーンレストランがスタートして増店に勢いがつきはじめた七〇年代中頃以降一貫して毎年一兆円ずつも市場規模が上乗せされていたという時代背景はチェーンレストランが成長を続ける上で最高の市場条件であったというべきでしょう。
 ところが、九二年以降バブル経済の崩壊と軌を一にして市場環境は一変します。
外食産業市場規模の伸びは低迷し、九四年には史上はじめてマイナスになります。
最近三年間の同値の伸び率はわずか〇・三%に留まっています。
 以上のような次第で、外食産業市場規模は七〇年代(中頃以降)は年率二桁の高成長を続け、八〇年代になるとこれが年率数%という中位成長となり、九〇年代のバブルの崩壊以降は極めて低位で推移しているといえます。
 外食産業市場規模が九〇年代後半以降どのように推移するかという点について軽はずみな予測はできませんが、一方で消費者の外食ニーズが引き続き拡大していくにしろ、他方では、@市場価格が安定しており物価として価格が上がる気配がないこと、Aコンビニエンスストアや宅配ビジネスなど食のマーケット全体の競合が激しくなっていること、B事業者側に技術開発の推進などローコストオペレーションの追求意欲が強いこと、C消費者の選択眼が厳しく安易な高価格店の集客が難しいこと、などの事情を考えますと、かつてのようないわゆる右肩上が外食産業とはりの市場拡大は期待できないとみておくべきでしょう。
 剛 外食産業の財とサービス 外食産業は他の産業と比較してどのような特徴があるのでしょうか。
外食産業について議論していますと、しばしば隣接の流通業、サービス業との類似点や相違点について尋ねられることがあります。
 ここでは、外食産業の産業としての特徴を、これら隣接の産業と比較したりしながら、述べてみたいと思います。
 経済学でよく使われる概念に「財」と「サービス」があります。
財は具体的な物品のことで有形の商品だと規定されます。
これに対してサービスは無形の商品です。
 消費者(財の買い手)にとって有用な財を新たにつくりだす業種は製造業(製造加工業、第二次産業)といいます。
すでにある財を消費者の手元に届くように手配する業種が流通業です。
流通業を営むためには、普通は倉庫(あらかじめ財を手当てしておく)や店舗(消費者の近く 3で財を展示する)を設けて臨みます。
サービス業では、財ではなくサービスを消費者に販売します。
サービスとは物ではない消費者の欲求の充足に対応することをいいます。
例えば、映画(興業)、塾(教育業)、ホテル(宿泊業)は、消費者の娯楽、教育、宿泊のニーズに対応しますが、財の授受はありません。
 さて、このように財とサービスという観点で、製造業、流通業、サービス業を規定してみますと、外食産業は、製造業の特徴とサービス業の特徴を分かち難く併せもっているということができます。
 外食産業は食事を消費者に提供する事業です。
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